「日本料理の中心は水にあり、食材やだしの風味、うまみをいかすも殺すも水しだいや」
京都の老舗日本料理店の店主の言葉です。

この言葉の真髄とは？
どうやら、水の中に含まれるミネラルの量が料理と密接に関係があるようです。

水には、適度なミネラル分（カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなど）が含まれています。
このミネラルのうち、１リットル中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を加算した数値が硬度です。
ＷＨＯの基準では、硬度１２０ｍｇ未満が軟水、硬度１２０ｍｇ以上が硬水といいます。

日本の水道水は、関東では硬度が若干高く８０ｍｇ程、それ以外の地域では４０ｍｇ前後と若干の差はありますが、日本の水道水は軟水です。
日本の名水と言われる湧き水も軟水ですし、日本で採水されるミネラルウォーターも軟水です。

軟水は、料理の素材のもつ風味や旨味を引き出すのに適しています、水溶性の成分を抽出しやすい特徴があります。

昆布や鰹節でだしを取る場合は、軟水でとってください。昆布のグルタミン酸、鰹節のイノシン酸が軟水によって引き出され旨味がふくらみます。
硬水でダシを取るとミネラルの作用でダシに含まれるアミノ酸がアクとして出てしまうため旨味が十分引きだせません。

 ごはんは軟水で炊くとやわらかくふっくら炊き上がります。