ＰＦＯＳとは、有機フッ素化合物の一種です。１９４０年代にアメリカで開発された界面活性剤で、耐熱性、耐薬品性など非常に優れた特徴を持ち、表面張力を大きく低下させることなどから、撥水剤、紙・布の防汚剤、航空機火災などの泡消火剤成分などとして幅広く使用されてきました。

ＰＦＯＡも同様の性質をもち、フライパンのテフロン加工や食品包装紙の撥水加工の際の原料などとして幅広く利用されてきました。有機フッ素化合物の人の健康への影響についてはまだ研究段階で、発がん性や人への毒性についてはまだ最終的な結論は得られていません。

しかし、これらは環境中でほとんど分解しないこと、生物中に蓄積することなどから、現在PFOSは、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約で国際的に製造・使用の制限がされています。

日本国内では化審法第一種特定化学物質の指定を受け、一部例外を除いて原則的に製造・使用が禁止されています。ＰＦＯＡについては現在、国内での使用制限はありませんが、２０１５年にデュポンや３Ｍ、旭硝子、ダイキン工業などの主要フッ素化学メーカーによる自主的な使用廃止がされています。

2023年12月には世界保健機関（WHO）の専門組織である国際がん研究機関（IARC）は、PFOAの発がん性を「可能性がある」から2段階引き上げ「ある」に認定したと発表。また、PFOSは、新たに「可能性がある」の分類に追加されました。

アメリカでは飲料水における健康勧告値として PFＯSとPFOAの合計値で７０ng/L（ng とは１０億分の１g ）、ドイツでも同じく勧告値として３００ng/L という値が示されています。この値は他の物質の基準比べて非常に小さく、例えばＰＣＢの環境基準は「検出されないこと」とされていますが、「検出されないこと」とは５００ng/L 未満であることと定義されていますので、 PFＯSとPFOAの健康勧告値はそれよりも低い値となります。

日本国内の調査では、フッ素樹脂製造工場周辺、繊維の撥水加工工場周辺やそれらの工場排水を処理している下水処理場、空港周辺の河川・地下水から高濃度で検出されている事例が確認されています。海外でも工場、下水処理場、民間空港周辺や空軍基地周辺で高濃度の汚染が確認されています。

日本では2020年4月、水道水の水質基準次ぐ「水質管理目標設定項目」にＰＦＯＳとＰＦＯＡが加えられ、合計で1ℓあたり50ナノグラム以下と定められています。

また2024年１月内閣府食品安全委員会の作業部会は評価案としてＰＦＯＳとＰＦＯＡの合計で生涯にわたり摂取しても健康に影響がない基準値として一日に体重１キロあたり２０ナノグラムとしました。

＊PFOS（ペルフルオロオクタンスルホン酸） PFOA（ペルフルオロオクタン酸）

詳しくはNHKのPFAS問題についてのまとめをご覧ください

すでに世界中の雨水にも有機フッ素が含まれていることが分かってきました。

岐阜県各務原市の水道水のＰＦＡＳ問題

PFOAの発がん性を「可能性がある」から2段階引き上げ

米国ＥＰＡがＰＦＡＳの飲料水における濃度基準決定

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